――こんにちは、地球連邦図書館宇宙の果て分室の職員、瀬戸柚香です。 いつもは宇津木館長の許、地球の中央図書館に勤務してます。時々こっちにやってきては、ぽとすさんに手伝ってもらいながら資料整理をしていましたけど、最近アルバイトさんが増えたので、ちょっと何かやってみようかということになりまして。 お陰さまで、イロイロ調べものができました(^^)。助かったわ♪ 宮本くん、古河くん、佐々ちゃん。どうもありがとう。 |
佐 々: | どーいたしまして。 |
宮 本: | いやなに、美しい女性のためでしたら、いつでも!! (にっこり)(余分なコブは要らんが>某ぽ) |
古 河: | ……(-_-) ふたりとも、調子いい。。。働いたのは誰だと…。 では、僕らはいただいたワインでありがたく、あっちで飲んでますので♪ 大変ですが、がんばってくださ〜い。よいお年を。 |
(3人、去る) | |
(――ややもして) | |
ぽとす: | 柚香さ〜ん! 新しい指令書、宮本さんに渡してきましたよ〜! |
柚 香: | どうもありがとう。――届けてくるだけにしては、ちょっと時間がかかってない? |
ぽとす: | えへへ。そうですか? (にっこりVサイン) |
柚 香: | ……。まぁいいか、Xmasだし。(^^;) |
柚 香: | ええと。それじゃお互い調べたことについて確認しましょうか。 クリスマスが【イエス・キリストの生誕記念日】ということは間違いないわね。 |
ぽとす: | あ、ちょっと待ってください。クリスマスの表記なんですけど、【X’mas】じゃないのはスペルミスじゃないですよね? |
柚 香: | えぇ、もちろん違います。 日本語でいうクリスマスは、英語の「Christmas(クリスマス)」に由来しています。【Cristmas】は「christ(キリスト)のmass(ミサ)」という意味です。 そして、【Xmas】と表記する時の【X】は、ギリシャ語のキリスト(クリストス)χ ρ ι σ τ ο σの第1字を用いた書き方になります。 【X’mas】という表記をまるでしないわけじゃないけれど、21世紀初頭の英語圏では使われていないので、誤用と認識されるようになってきているみたいね。 ちなみに、フランス語では【Noël(ノエル)】、イタリア語では【Natale(ナターレ)】、ドイツ語では【Weihnachten(ヴァイナハテン)】と言います。 |
ぽとす: | それにしても、よくキリストの誕生日を確定しましたよね。といっても、それが正しいというわけじゃないみたいですけど。何しろ誕生年も西暦0年じゃないみたいですよね。 |
柚 香: | キリストの両親は、ナザレからベツレヘムまでの110qを4日かけて旅したそうだけど、身重の体でどうしてそんな旅をしたのか。答えは、ローマ人が課税の為に14年ごとに行っていた人口調査の年だったからなんじゃないか、というのが有力な説。 この人口調査の実施年は、紀元20年、34年、48年が判明しているので、ここに天文学的見地からの考察を考え合わせると、紀元6年の生誕説が有力といえます。でも、いくらなんでも、農繁期の農民を農地から引き剥がすようなことが得策じゃないってことは、一目瞭然だわよね。 |
ぽとす: | 新約聖書の《マタイによる福音書 1:18〜25》や《ルカによる福音書 1:26〜38》などにマリアの処女受胎に始まるキリストの誕生について記されてはいますけど、日付の記述はありませんでしたよね? |
柚 香: | そうよ。3世紀初めの頃には、アレクサンドリアのクレメンスがキリストの降誕日を5月20日と推測したりもしてるわ。12月25日に祝った最古の記録は、336年の『フィロカルス』の暦にあるみたいね。 3世紀頃の東方教会では、イエスの受洗を重視し降誕には意味を認めないとして、公現祭をキリスト受洗の日=神性顕示の日として祝っていた。これが1月6日ね。けれど、西方では降誕の時からイエスの神性を信じているから、東方教会を異端と考える。 そんな状況に終止符を打ったのが、325年のニカイア公会議で、キリスト論に関する教義を整理し、キリスト誕生の神学的位置付けが確定され、12月25日がキリストの誕生日として解釈された、といわれているわ。 |
ぽとす: | 私、てっきり聖書に記述があるんだと思っていたんですよ。 でも、このキリストの降誕の日を確定する作業って、「地球滅亡まであと○○○日」+「島航海長が出発して7日目と言った」=「ヤマトが地球を出発したのは○月○日」とかから日付を算定して、航海日誌まで作成する作業と似てますよね? |
柚 香: | そ、そうよね…。でも、それと一緒にするのはどうかな……(^^;) |
ぽとす: | そですか? やってることは同じだと思いますけど? |
柚 香: | ま、まぁね。でも、それはちょっと置いといて。 クリスマスが異教の祭りを吸収することを意図して定められたというのも、確かでしょ。 そこにはゲルマン人の冬至祭・ユールや当時のローマの国教だったミトラス教の祭りであるサトゥルナリアなどの異教的祝祭の名残も有している。数世紀の間、異教の習慣は強く残ったけれど、教会はキリスト教の教義と明確に矛盾しない限り断絶することなく同化・習合の方針をとった。そうして、クリスマスは様々な信仰を吸収しながら現在まで存続してきた、と言えるでしょう。 |
ぽとす: | そうですね。そして、国によって時代によって様々な変遷を経て現在に至る、ってとこでしょうか。ユール・ログなんかも宗教的な意味は取り去られて、上手くキリスト教に融合されてますよね。 |
柚 香: | ユール・ログ――クリスマスに使われる巨大な薪のことね。後年、パリのお菓子屋さんがこれにそっくりなケーキを作った――それが、「ブッシュ・ド・ノエル」だわね。 |