時に西暦2320年。
ヤマトに乗ったクルーはみな、その寿命を全うしていた。
ここは、いわゆる、あの世である。
ヤマトに乗ったクルーはみな、その寿命を全うしていた。
ここは、いわゆる、あの世である。
なぁ、島。
なんだよ、古代。
実はさ。真田さんが、現世行きのタイムマシンを作ってくれたんだ。乗ってみようぜ。
おいおい。現世に行くだけでもスゴイのに、タイムマシンってことは、時間も自由自在なのか!?
うん。ワープ技術の応用らしい。
「人生にあの世という続きがあったとは、嬉しい誤算だった」って
日夜、研究に没頭してるのは、島も知ってるだろ?
俺たちが乗っていいのか?
「まずは古代に乗ってほしい」ってさ。俺、真田さんから信頼されてるからな!
……それはつまり、実験台ってことだろ。
島は真面目だなぁ。難しく考えるなよ。真田さんのやることに間違いはないって!
ちょっと待てよっ。なんでそれで俺が一緒に乗らなきゃならないんだ、おいこらっ、離せよっ。
大丈夫、大丈夫!
テ、テレサぁ〜。
大丈夫、大丈夫!
イテテテテ……。
――お前、ヘタクソなら運転するな! どうして元航海長の俺に任せない!
だって、嫌がってたじゃないか。
無理矢理乗せた上に、ヘボ運転。お前はいつになったら大人の落ち着きと判断力ってものが……。
ごちゃごちゃ言う前に、まず俺の上からどいてくれよ。重いよ。
あぁ、悪い。
……ふぅ。――島、太ったんじゃないのか〜?
えっ。そうかな……。テレサの手料理が美味いんだよ。ついつい、食べ過ぎてしまうのかもしれん。 お前は変わらないな、ちっとも。
む。それ、どういう意味だよ! ユキの腕だってかなりのもんだぜ?
はいはい。いつまでもお熱いことで。
ひとのこと、言えるか!
ふふん。俺たちは熱くて当たり前。現世で不遇だった分、こっちでは幸せにならないとな。 当然の権利だろ。
そうか。そうだよな……。
そこでしんみりするなよ。もういいんだ。
おっ、あれ見ろよ。
ん? どこどこ?
あっ、あああっ。
守さんだろ、あれ。すごいな。いくつあるんだ? 8、9、10、11……12個!
バレンタインの季節なんだ、きっと。兄さん、もてたから。
どこか行くみたいだな。よし、尾行するぞ。席、代われよ、古代!
そんなに細かく追跡できるもんか。
ヤマトでどこまで行った俺だと思ってる? 任せとけ。
いいって。やめろよ、島! しまっ、聞いてるのか、うわ〜っ。