= はじめに =
目の前を、ふわりと風が走りすぎていった。
――島大介には、そう見えた。
山本の言葉が頭をぐるぐると回る――「この艦長、俺たちぐらい、置いていきやがるからな」
そうだ。あれは月を出た処だったか。
山本は、一度あそこで艦に見捨てられ、置いていかれそうになったのだ。 ――そして、その操縦桿を引こうとしたのは、自分。
……というような文章を書いて見せたところ、「航海班って深いですぅ」と言われました。 「普通、そこまで考えないです」…そ、そう?
月から最初のワープをする時に、被弾した山本機が置いていかれそうになって古代が助けようとし、 島は(役目柄当然ですが)艦橋で冷静にワープの準備をし…。実際に山本が間に合わなくても 沖田はワープを敢行しただろうし、島はワープのための操縦桿を引いただろう――。
copy right © Illustrated by ERI,2009./All rights reserved.
はい。
「第一回ブックフェア」でございます(_ _)。
「地球連邦図書館 宇宙の果て分室」でも、時々お客さまをお招きするための企画がございまして。 それで、館長・宇津木氏の思い遣りなのか、図書館司書の瀬戸女史の思惑なのか、館員ぽとすの陰謀か。 もちろん「技術班長」ネタで! ということになりました。
真田技師長といえば、「パート1・第18話」でしょう。
ということで、ワタクシは、すでにわがオリジナル・キャラクター的真田の子飼いの部下である 大槻結衣と副班長・向坂通の視点で1本描いたのですが、どーしても島くんの話が書きたかった。 なぜなら、是非、ERIさんにも参加していただきたかったから、なのです。
期待にたがわず、素敵なイラストをいただきましたので、挿絵はやめて、思わず「扉」作っております。
これは、このあとに続く本文の1シーンです。実際の島は物凄く汗かいていますが。
第18話で「古代と真田を見捨ててヤマトはワープしなければいけないかもしれない」という場面、 すぐに連想したのが上記の第3話でした。それは、島の心情そのものだったろう、と。
もちろん、私のことですから、単純にサイドストーリーだけで終われませんでしたけど(_ _;)
島大介視点。「宇宙の要塞島! たった二人の決死隊」をどうぞお楽しみください。
――2009年11月 綾乃・拝